チラシのおもて

すきなものについて

絵本書評エッセイ『あのとき、この本』。

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早速ですが、思い出の絵本や好きな絵本はありますか?多分、誰もが小さいころに「読み聞かせ」で読んでもらったりしたのではないでしょうか。僕は小学生の頃の昼休みに「読み聞かせ」を聞くのが大好きだった。近所のおばさんがやってきて最後に"さよなら あんころもち またきなこ さようなら"と毎度歌うのですが、調べてみたら『さよならあんころもち』という歌らしい。とってもシンプルで微笑ましい曲である。数多くの絵本を読んできたが、その中でも『もっちゃう もっちゃう もうもっちゃう』が大好きだった。リンク先で全ページ読めるみたいなので気になったら是非。


www.ehonnavi.net


この本について思い出したエピソードがあるのですが、小学校の頃からの同級生に「もっちゃん」というあだ名の友達(高校まで一緒)がいて、その子に対して"もっちゃん もっちゃん もうもっちゃう"とか言ってからかっていたのを思い出しました。今思うと、とっても幼稚だし、本の内容もトイレに行きたいけど、なかなか行けなくて"あ~漏れちゃう"っていう下らない内容なのに、当時の僕は何をそこまで惹かれたのでしょうか...(笑)今回は1つ前のブログで少し触れた『あのとき、この本』という絵本書評エッセイについて、もう少し詳しく書いてみようと思います。


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基本的には全ページ見開きで谷川俊太郎さんや恩田陸さん、吉田戦車さんなど、数々の著名人が自分の幼少時を思い出したりして好きな絵本について寄稿しています。で、左の"片隅"に、こうの史代さんの四コマ漫画が添えられています。とっても可愛いし、『この世界の片隅に』を見て気になった人には、オススメです。結構、こうのさんの作品は似てる女の子が主人公である事が多くて、今回のもそうで「すずさんが、もし現代の女の子だったら」と想像しながら読むのも楽しいと思います。


アボカド・ベイビー

アボカド・ベイビー


何となく読んでて気になったのが翻訳家の青山南さんが紹介していた『アボカド・ベイビー』という絵本。ジョン・バーニンガムさんが著者で、紹介している青山南さんが翻訳を担当されているみたいです。内容は「何も食べたがらない赤ちゃんに、母さんは困っていました。ある日、アボカドを食べさせてみると……。痛快ユニーク絵本。」という非常に気になるあらすじ。どうなってしまうのでしょう。タイトルも秀逸で面白い(笑)


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後、とっても気になっているのが、柴田ケイコさんの『おいしそうなしろくま』。僕のバイト先の書店員さんに凄く天然でおっとりして可愛らしい方がいる。10歳歳上には見えない程に若々しい。そして、この人は書店員歴が13年であるのに全く本を読まないという変わった方なのである。「小説が駄目なら絵本どうですか?」とオススメしたら、この『おいしそうなしろくま』を買ったらしく気になっているのだ。なんちゅうユル〜いチョイス!


アライバル

アライバル


大人向けの絵本だと、ショーン・タンの『アライバル』が素晴らしいので是非とも読んでほしい傑作です。むぅ、読んでいたら色々と気になってしまったのでアルバイト先の書店辞める前に色々と買っとこ~。そして前回から始めた4コマ漫画ですが、第2話は『サウナ』です。主人公を少し僕の髪型に寄せたのと、知らず知らずのうちに安村風なノリになってしまったのがショックや・・・(ちょっと下品だと思ってるので絵本と一緒に載せたく無かった(笑))。たった4コマで30分くらい掛かってるのですが、本物の漫画家さんは比べ物にならないくらい大変だと思う。それに比べて僕は4コマなので出来るだけ毎回載せられたらいいなと思っています。





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中条あやみさん大好きなのです。アナザースカイでのオン眉も最高やった。

ブログで4コマ漫画の連載を始めようと思う。

最近、漫画をよく読むので書いてみたくなった(笑)でも長編とかは、きっと描けないと思ったので『あのとき、この本』という絵本書評エッセイがあって、こうの史代さんが4コマ漫画を載せていて「これなら書けるかも!」と根拠のない自信が芽生えた為に始めようと思う。なんだか、ただのブログだし文字ばっかりじゃ面白くない気がして、僕の日々の事を4コマ漫画にして毎回のオマケに載せたいと思います(それこそ面白くない気がしますが)。とりあえず、やってみて飽きたら止めます。実は昨日も行ったのですが、今日も夜の12時頃まで銭湯にいて銭湯に入りながら描こうとか考えて、帰りにコンビニでボールペンをサッと買ってエクセルで枠を適当に作って描き始めました。とくに面白いとかではなく日常系です。もう最初はパクリからで徐々にオリジナリティを出していく予定で、とにかく描いて描いて画力を上げるしかないと思っています!4月から社会人になるまでは暇なので無駄な事に時間を費やそうと思います。中高生の頃は毎日教室で漫画描いてたけど、それ以来でちょっと描いてて楽しくなった(その時は狂った様にバトル物)。全部フリーハンドで線がガタガタかもしれないですが、その辺はご愛嬌で....。なんか、こうの史代さんと同じサイズ間隔で枠を作ったら横に長過ぎて(映画でいうシネスコ)、如何に埋めるかという悩みが生じてしまった。なんとか吹き出しで稼いだけど、もう少し人物を大きめに描くとか思考錯誤してみよう。

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で、これは今日のバイト前に服を買おうと思った時の話です。雑誌で妻夫木くんが白のブルゾンを着ていて、それを目当てにお店に行ったのですが店員さんに声を掛けられてしまいました。僕はとっても店員さんに話しかけられるのが苦手で「もうそれ下さい」と店を出てしまいました。お目当ての物が買えなかったので、その店員さんがいない時にまた行こうと思う。もう本当にコミュ障過ぎて服屋が苦手なんですが、わかる方いないかなぁ...。因みに服に書いてある「G」はジャイアンではなく、僕のイニシャルの「G」です。こんな感じで日々あった事を4コマにしたいと思ってます。結局の所はオマケなので悪しからず。店員さんの語尾が"〜っす"なのはタイトルの「げんきっすの1日っす」から来てるかどうかは、ご想像にお任せします。


ちょっと自分に寄せた主人公案。去年ブームだった、あのキャラクターに似ちゃった、、、

『住住』が面白かったら『ウレロ☆未確認少女』も是非。

ひたすら駄弁ってる様な作品て面白いなぁ~と最近思う。此元和津也の書く『セトウツミ』が映画化されて僕も見ましたが、もうただただ至高の時間に思えたし、何気ない会話にこそ"可笑しさ"や"愛おしさ"が詰まっている様な、そんな感慨すら抱いてしまう。僕の偏愛する監督のクエンティン・タランティーノの映画でも、そんな何気ない会話がひたすらに繰り広げられるのが最高に愛おしい。今回は、そんな"ただ駄弁るだけの愛すべきドラマ"に加わりそうな『住住』について書いていく。『住住』の話に入る前に、ちょっと違う作品について取り上げます。


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まず『住住』を見るにあたってキャストやスタッフを調べてみた。脚本にバカリズムさんとオークラさんが関わっていて、まず僕はテレビ東京の『ウレロ☆未確認少女』といった「ウレロ☆シリーズ」を思い浮かべました。テレ東の番組などをよく見る人にとってはお馴染みの佐久間宣行を演出に置き、バカリズム劇団ひとり東京03、そして(元ももクロの)早見あかりが出演している。タイトルの未確認少女というのは劇中に出てくるアイドルの事で、その歌声を"ももいろクローバーZ"が担当しているし、早見あかりが出ているしで、当時はモノノフだった僕は、これを見ない訳にはいかなかったのだ。劇中に流れるアイドルが歌う「We are UFI!!!」は謎のアイドルと言いつつ、歌詞からは完全に"ももクロ"っぽさを感じさせるし、脱退した早見あかりと、このドラマを通して共演している事に感動すら覚えた。ただ偏見かもしれませんがドタバタした感じのこのドラマは、まさに「テレ東」的な番組であると思った。ちょっと揶揄した感じに聞こえてしまったかもしれませんが、お時間があれば見てほしい傑作ドラマだと思っています。最近のは面白くなくて見ていないのと、あまりこれが好きだってオススメした事ないのですが、いい機会なのでオススメします!確か主題歌は何かと、ももクロと関りがある(今は知らないですが)在日ファンクが担当している。



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ドラマの概要―
「住住」はバカリズムが原案・脚本を担当する作品で、テーマは「芸能人の私生活を妄想」。バカリズム、若林、二階堂が本人役で登場し、彼らがもし一緒のマンションに住んでいる仲良し3人組だったらという設定のもと、ストーリーが展開する。


そんな「テレ東」的な番組とは裏腹に、とってもユル~い感じのドラマでビックリした。先ほど上げた『セトウツミ』的な作品に近い緩さというか、それを生み出すのが会話の中の"間"であるように感じられた。というかバカリズム、オードリー若林、二階堂ふみが本人を演じるというのは非常に面白いし、"ドラマ"と"ドキュメンタリー"の境界にあるような感じで、虚構と現実が入り乱れた作風を描くキアロスタミの映画的な要素を感じさせる。時々、会話の中で黙り込む"間"が生まれるのが非常にリアリティを生み出している気がして、ウレロ☆シリーズではとにかく「テレ東」的な騒がしさを象徴している忙しない"言葉の応酬"が本作には描かれておらず、非常に毛色の違う作品に仕上げてきたなぁと思ってしまいました。しかし本作『住住』は、とにかくバカリズムと若林がボソボソと喋るだけのドラマなのですが、時折、二階堂ふみちゃんの屈折した感性を垣間見た時に「テレ東」的な要素を感じると僕は「これを待っていた」とばかりに嬉しくなったりと凄く楽しめた。ほとんど動かない会話劇なのですが、二階堂ふみちゃんが"変な行動"をしてはトイレにいったり、ご飯食べに家に帰ったりして、その"間"に男性陣二人が「あれ、やばくね?」って話すところが非常に可笑しくて、愛らしいのである。バカリズムが、若林に対して「1時間くらい前にパン1個だけ食べるのおかしくね?お前そういう所あるよね」みたいな、どうでもいい会話が延々と繰り返されるのですが、「あっ、僕も夕ご飯前に腹減ってパン1個食べるわ」とか、そういう何気ない生活のズレみたいな物は視聴者に共感を抱かせるし、そういう生活の中の何でもない物を"笑いに昇華"させているのが、とっても楽しいと思った。僕的には、今期のドラマのダークフォースだと思っているので、是非ともご覧いただきたい。後、主題歌が以前ブログでも取り上げた「Enjoy Music Club」でキャッチアイのイラストも「ボブ a.k.a えんちゃん」が担当していて、色んな好きが溢れた作品だ。特に二階堂ふみ様が好きな訳だけども...笑



「住住」PR 主題歌ver

熊倉献『春と盆暗』と森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』 愛すべき盆暗の話。

早速ですが、盆暗とは何ぞやという方に、盆暗についての解説を引用したので見てほしい。

『ぼんくら』の解説―
ぼんくらとは盆暗と書く賭博用語で、盆の中のサイコロを見通す能力に暗く、負けてばかりいる人のことをいった。 ここから、ぼんやりして物事がわかっていないさま、間が抜けたさま、更にそういった人を罵る言葉として使われる。 これとは別に「がんばれ」という意味で使われることがある。


そうそう、盆暗って嚙み砕いて噛み砕くと見えてくるのだが"愛すべきアホ"の事なのだ。そして、ついつい「がんばれ」と応援してしまう存在の事なのだ。そんな盆暗が活躍する作品として何を思い浮かべるだろうか。そう、僕は森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』がパッと思いつく。では少しだけ本作について触れてみたいと思います。


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夜は短し歩けよ乙女』の作品概要―
京都大学と思われる大学や周辺地域を舞台にして、さえない男子学生と無邪気な後輩女性の恋物語を2人の視点から交互に描いている。諧謔にあふれる作品で、ときに現実を逸脱した不可思議なエピソードを交えている。古い文章からの引用が多い。タイトルは吉井勇作詞の『ゴンドラの唄』冒頭からとられている。

湯浅政明監督によりアニメーション映画化され、2017年4月7日に全国公開予定。


本作の語り手である"先輩"を通して物語を垣間見る訳なのであるが、この本名不明の腐れ大学生がまさに盆暗野郎なのだ。こんなに"腐れ"とか"盆暗"とか揶揄してるけど、僕自身も盆暗であると思っているので不思議と共感してしまうのだ。そんな彼が恋をしたのが、本作のもう一人の語り手である"黒髪の乙女"なのである。彼女はどんな人物かというと自由奔放で好奇心の塊であるという無邪気で子供のような印象を受けるかもしれないが、そんなイメージとは裏腹に彼女は"うわばみ(酒豪)"であったりする。自分の世界を突き進む彼女を好きになってしまうのは、盆暗大学生にとって茨の道であるのだ。どうにか"黒髪の乙女"の目に触れようと、彼女が京都の先斗町や学園祭、そして古本市に来る情報を掴むや否や偶然を装い出会おうとしたりと、姑息な手段を使う"腐れ"野郎なのだが、彼女が欲しがっている「絵本」を手に入れるために激辛鍋を食べて奮闘したりと意外な一面も見せる。そんな一途な姿は応援したくなるし、"愛すべき盆暗"ではないだろうか。是非とも、また森見登美彦さんには盆暗が主人公の話を書いてほしい。そんなこんなで愛すべき”盆暗"が好きな僕は盆暗に対して目がない訳で、バイト先の書店で『春と盆暗』を目にした時には、ついつい手に取っていた。というか、もう感覚がマヒしているのかスケラッコさんのタイトルに”盆暗”の”盆”が付いている『盆の国』を見た時には思わず運命すら感じてしまったのだ。しかし、今回紹介したい本は『春と盆暗』であるので、とりあえずどんな本かを紹介していきます。是非とも"盆暗"か"青春"に目がない人たちに読んでほしい傑作です。


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『春と盆暗』の概要―
好きな子ができた。同じ職場の女の子。それも誰もが認める「いい人」キャラ。しかし僕は、彼女のとんでもない“頭の中”を知ってしまう!(『月面と眼窩』) 月刊『アフタヌーン』でデビューを飾った2017年最注目の新鋭、熊倉献(くまくら・こん)待望の初コミックス。さえない男子たちが予想外のドラマをつむぐ、4編の恋愛譚を収録。


僕はこれを公共の場で読みながら、とんでもなくニヤケていた。これこそ、この様な行動こそが”盆暗”であり、”盆暗”たり得る所以である訳だ。そんな事より、この漫画は4編のストーリーがあるのですが、どいつもこいつもまるで打ち合わせをしたかの様に、ちょっと頭がおかしい女の子(一応、褒め言葉です)に惹かれてしまうのだ。僕だって『化物語』なら戦場ヶ原だし、『いちご100%』なら自由奔放な西野つかさだし、『涼宮ハルヒの憂鬱』なら長門有希が好きなのだ。こんな僕と一致したあなたは絶対に本作が好きだと言っても過言ではない。そんな女の子たちに負けず劣らずで一癖も二癖もある女の子たちが『春と盆暗』には登場しています。例えば月面に標識を投げつける女の子とか、背が低くて上手く呼吸できなくて鯉のようにパクパクしながら呼吸する女の子とか、人を殴る癖がある女の子とか、ちょっと変(ちょっと所ではない?)なのだけど、そんな子たちの想像力溢れる世界や感性に触れることで、僕らは"普通の青春"ではない"宇宙を感じてしまう程の青春"を体感してしまう訳なのである。僕や『春と盆暗』の主人公たちの様に盆暗である君たちには、どうか落ち込まないで欲しい。いや気づいているかもしれないが、不思議な世界を持った女の子の魅力に気づき、手を差し伸べ、掬い上げる事が出来るのは僕たちだけなんだ。そう考えたら"盆暗"である事って更に最高やないでしょうか?



夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

ポップカルチャー日記・映画編(2017年1月)

何だか暇だったので髪を切るついでに、今日は自転車で10分くらいの近所のお風呂 - 南増尾健美の湯に行ってきた。ちょこちょこ来てるけど、以前広島で銭湯に行った時に”ちんこ”が小さいから好きじゃないと書いたが、それでか普通のお風呂だけサーっと入って帰っていたので、こんなに充実した設備とは思ってなかったのでビックリした!(多分、色々と新しくなってる)バイブラス・電気風呂、ボディーバス、ジェエットバスなど、様々なお風呂がありました。ジェエットバスも電気風呂も、ちょっと強くて痛かったので、お年寄り向けなのか....。サウナもモイスチャー、塩、スチームなど3つもあるとは知らんかったし、というか普通のしか入ったことなかったので増設されたに違いない。スチームサウナはタバコとか吸えない僕にとっては煙がキツくてゴホゴホいってしまったけど、煙はハーブだったり日替わりなので、いつも違くて楽しめるみたいで通ってる人は楽しそう。色々ある中でも、露天風呂になってる”別府風呂”と"高濃度炭酸泉(全身浴&半身浴)"がとっても気持ちい。大分県別府直送の湯の素を使用しているらしいので、フラーッと大分まで行けない人には手軽でオススメかも。硫黄の匂いが堪らなく好きなので、ここにずっと入っていた。高濃度炭酸泉の露天風呂は、身体中が皮膚呼吸していて泡だらけになってビックリしたし、股間がクリスマスツリーみたいになってしまって恐ろしい....。一番ビックリしたのは、銭湯の食堂で中学時代の同級生がバイトしててビックリした。「おっさんかよ」って言われてしまったけど、もう僕らは「おっさん」だ!

話は本題に入りますが、銭湯の帰りに本屋さんによった。雑誌「POPEYE」を読んだ。本書で”橋本愛のカルチャー日記。”という連載が少し前から始まっていて(今月で3回目くらい?)僕も今月見た物とかをつらつらと書いてみたいなと思ったので書きます!

今回は映画編。年明け一発目は、千葉県の柏駅にあるキネマ旬報シアターの1ヶ月フリーパスが当選したので『ティファニーで朝食を』見たんだけど、やっぱり名作と言われるだけあって素晴らしい。オードリー・ヘプバーンが開いたパーティーに、作家役のジョージ・ペパードが手土産に本を渡すんだけど、その本をサッと置いてインテリアに早変わりしてしまう所とか、凄いセンスあるオシャレな映画だった。その後は、ひたすら去年から見ている『男はつらいよ』をNetflixで35作目辺りまで見ていたので、今年1月はほぼ寅さんの映画だったかもしれない。後は、文芸座のオールナイト上映で”新春メカゴジラまつり”へ行った。正月といえば「ゴジラ」と「寅さん」な気がしているのでオールナイトの方は少し寝ちゃったけど、今年の始まりを感じたので見れてよかった。で、昨日は久々に新宿へ赴き『この世界の片隅に』とゴダールの『はなればなれに』を見ました。


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上映後に五所純子さんという全く知らない方のトークショーがあったのですが、超つまらなかった。でも、ある映画評論家の言葉を引用していたのですが「日本の人はゴダールの映画がファッション誌で紹介され、オシャレな物としてファッションとして消費している。そこに物語は存在していないのだ」みたいな事をいっていて申し訳ないですが、そこだけ面白かった気がします。結構、有名なんですがルーヴル美術館を走り抜けるシーンがあって、僕が好きなベルナルド・ベルトルッチの『ドリーマーズ』で引用(オマージュ)されていたので、とても気になっていたのですが見る機会がなく今回見れて本当に良かった。後、タランティーノの『パルプ・フィクション』に影響を与えてるという話を聞いた事があるのですが、ストーリーから何まで結構そのまんまな感じで面白かった。個人的にフランツ役のサミー・フレーとアルチュール役のクロード・ブラッスールの西部劇を再現しながら遊ぶシーンが面白かった。それが後半で効いてくるのも流石だし、ゴダールは音と画の使い方が面白くて見ていて最高や。他にも英語教師の目を盗んで主演3人がおふざけする様なシーンがあるのですが、そこで目線を走らせてリレーの様に「まなざし」を繋いでいく所が僕は、とっても楽しくて好きだった。写真のダンスのシーンは、めちゃくちゃ楽しい場面で言わずもがなだし、人生のベストテンに入るくらいのダンスシーンかもしれない。『海辺のポーリーヌ』のロメール監督のダンスシーンとかも大好きなので、今度ブログで映画における「ダンスシーン」について語りたい。来月公開の『ラ・ラ・ランド』が非常に楽しみなので、その時にでも!


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正直、僕はゴダールに苦手意識があって、トリュフォーのが見ていたので避けていたのだが、ゴダールの虜になりつつあるのです...。トリュフォーの映画って美脚な方ばかりで、あんまり可愛い人がいるイメージがないのですが、ゴダール映画は本当に可愛い女の子が出ていて、それだけでも最高に楽しい。アンナ・カリーナもそうだし、『男性・女性』のシャンタル・ゴヤ(写真の子)なんて最高に可愛い。彼女はアイドル歌手みたいなので映画はあんまりないので残念ですが、フランスの発音と相まって曲が超可愛いので是非とも聞いて欲しい。(『男性・女性』の予告にながれているので見てない方は是非)



Masculin féminin (1966) Trailer

『この世界の片隅に』を通して見る”過去”と”今”②

 

 2016年のNo.1映画として選んだ『この世界の片隅に』を新宿ピカデリーで見た。僕は本作を見るのが公開日ぶりの2回目だ。やっぱり広島に行ってみて見返したくなってしまった。女優の”のん”がヒロインの声優を務めるアニメーション映画『この世界の片隅に』は、週末映画ランキングで11週連続ベストテン入りを果たし、累計興行収入記録15億円を突破した(2017年1月23日付の情報)。本当に素晴らしい作品であるので、小規模での上映だった本作が全国的に広がっていくのは、とっても嬉しい!原作の著者 こうの史代さんの漫画は幾つか読みましたが、『夕凪の街 桜の国』が僕の中で一番好きなので、それらについても語りたい。というか今回は、こうの史代さんについて語るブログでもある。

 

本作の概要ー

本作は、2011年に北川景子主演で実写ドラマ化もされた、こうの史代のコミックを『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)などの片渕須直監督がアニメ化。戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ気立てのいい少女・すず(声:のん)が戦禍にのまれていく悲劇を描く。

 

正直、北川景子が主演でドラマ化をしたものは見ていないのですが、北川景子演じるすずさんの夫の姉・黒村徑子役のが似合いそうなのだが、なぜこんなキャスティングにしたのだろうか。それはさて置き、今日は朝から『この世界の片隅に』のコミックを見返して、先程も申したが映画も2回目の鑑賞をした。そして『ユリイカ』のこうの史代さん特集を読み、本作を通して何を描きたかったのか、何を描こうとしたか、見てどう感じたかなどを書いていこうと思います。因みに『ユリイカ』には、”こうの史代 単行本未収録作品”として『ナルカワの日々』という作品が掲載されているので必見です。

 

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単刀直入に『この世界の片隅に』に描かれているのは、すずさんの「半径5mの世界」だ。少し話は逸れますが、クリスマスにポップカルチャーを批評してる宇野常寛さんが主宰の対談イベントがあった。加藤浩次さんや國分功一郎などをゲストに招き1対1で2016年にあった様々な事について語り合うという物で、誰だったか忘れましたが『シン・ゴジラ』や『君の名は。』、そして本作『この世界の片隅に』等の映画について言及される場面があり、そこで宇野常寛さんが何度も口にしていたのが「半径5mの世界」だ。所謂「半径5mの世界」とは”内側の世界”であり、徹底的に”外側の世界”を排除した世界なのではないかと思います。では何故かというのを語っていきます。戦争という背景が描かれる映画について、まずは何を思うだろうか。”怖い”とか”酷い”とか”残酷”とか常にネガティヴなイメージが付きまとう。こうのさん自身もこの様に語っている。

 

でも、もともと原爆についてはみるのもいやで、テレビでも原爆の話題になるとすぐにチャンネルを変えていたほどだったんです。だから描きたいとも思っていなかったし、むしろ自分なんかがうかうか語るものではないというか、実際に被爆したわけでも被爆二世だもない私にはそんな資格がない気がしていました。(...)

  

原爆ものをみたり描いたりすることになぜ抵抗感があったのか。残酷だからといってしまえば楽ですし、だいたいそういうふうに逃げてきたんですけど、本当はそうではないんですね。たぶん「原爆」というとすぐに「平和」に結びつけて語られるのが私はいやなのだと思います。

 

こうのさん自身も『夕凪の国 桜の国』(本作も広島の原爆が物語に関わる)を描く前は非常にネガティヴな印象を戦争や原爆について抱いていたという事が分かる。だから、そんな戦争や原爆に対するイメージを払拭する為に、『この世界の片隅に』が生まれたのではないでしょうか。『夕凪の国 桜の国』の中のストーリーの一つ「夕凪の街」では、夕凪の街(別名:原爆スラム)で原爆後に生き残った女性の心情や”原爆症”に悩む姿が描かれていたり『この世界の片隅に』と比べると少し暗いかもしれませんが、主人公の皆実(みなみ)は、おにぎりを包む「竹の皮」を集めて草履を作ったりと、細やかな生活模様が描写されていたりするのは、やはりこうのさんの優しさが伺える(『この世界の片隅に』でも少ない食料でやりくりして、その中で小さな工夫と幸せを糧にしたりと同じ様な暖かさを感じる)。で、先程も挙げたが『この世界の片隅に』では”原爆”が「半径5mの世界」の外側に追いやられた事で、優しさだったり、戦争の中でも幸せを見出したり、そういう細やかな描写が増えた事でネガティヴなイメージを払拭させたのではないかと思います。こうのさんは、こう語る。

 

ある種の”わくわく感”ですね。やっぱりそこはどうしてま避けられないというか、戦争の悲惨さだけを語っていても、そういうものが好きなひとにしか届かないんですよ。ひとが戦争に惹きつけられてしまう理由を説明するには、その魅力も同時に描かないといけない。そこに分かちがたいものがあるということをどこかでいいたくて、この作品では割とそれが表現できてよかったと思います。

 

対談相手の西島大介さんは、その”わくわく感”についてこう語る。

 

前半は軍艦や飛行機が次々に紹介されて、現代の日本にも通じる技術大国的な夢というか、それこそ”わくわく感”があるのですが、それが空襲であっというまにメタメタにされてしまうという末路も同時に描いている。

 

おそらなく『永遠のゼロ』といった「反戦」や「平和」を謳うような作品が増えている中で、ただのお涙頂戴にならない様な物を描きたかったのではと思った。何か戦争の中にも「幸福」や「楽しさ」を感じさせる様な、そして生き辛い時代でも強く生きる姿を描きたかったと思う。ただ僕らが生きていない、実際に戦争を体験していない人間が、むやみに「反戦」を掲げてしまう事は薄っぺらく感じてしまうし、前回の記事で婆ちゃんが言っていた様に「自分たちに技術があるって思い込んじゃった。でもアメリカがそれを上回った」という当時の人が抱いた想いや”夢”が崩れるリアルな記憶を描く事で、”ただのお涙頂戴”ではなく”この世界の片隅”を描いたのではないでしょうか。そんな”片隅”に注目して本作を、もう少し語ろうと思います。長くなりそうなので、また次のブログに続きます。

 

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『この世界の片隅に』を通して見る”過去”と”今”①

婆ちゃんに広島のお土産を渡してきたついでに色んな話を聞いてきた。戦時中とか、昔の事。婆ちゃんは広島の人間ではないけど、その時代を生き抜いた人なので、とても貴重な話だ。当時を覚えている方の話って、どんどん聞けなくなってしまう気がするので、ここに記録としてインタビュー形式で載せてみる。そして広島へ行って色んな人と触れ合ってみてから『この世界の片隅に』を改めて見て、そして婆ちゃんの当時の話を聞いて、僕が思った事や作品についてを書きたいと思います。まずは『この世界の片隅に』の広島ロケ地MAPを見ながら色んな話をした。最近、戦争の事とか考える場面が多くて、こんな記事ばかりですが、良かったら読んでください。



ー (古い地図を指して)呉にいってきた。婆ちゃんは広島に行ったんだっけ?

呉までいったのか。広島行ったけど、そっちの方は全然見てないね。平和資料館しか行ってない気がする。ツアーだからねぇ。覚えてないね

ー じゃあ、宮島とか西の方ってこと?

そうそう

ー ここが今の原爆ドームだよね

産業奨励館・・・そうそう、ツアーだから、この辺しか行けなかった

ー そうかぁ、広島は都会みたいで、呉は田舎だから歩くの厳しいかも。「大和ミュージアム」で大和について見てきたんだけど、当時は知ってた?

知らないねぇ。田舎に住んでたからかもしれないけど、当時は自分が生きる為に手一杯だから耳に入らなかったのかもしれないねぇ

ー なるほど、田舎だから。婆ちゃんの家は戦争で壊されたの?

田舎だから壊されたりはなかった。だけど、昭和19年に地震があって屋根*1とかが落ちてきて怖かったねぇ。近くの大きい本屋さんに皆んなして行ってた。戦争で狙われたのは、浜松の方(当時は静岡にいた為)の工場とか小学校だから、婆ちゃんは飛んでく飛行機をよく見たり、機関銃の音をよく聞いた

ー 人が多いところを狙ったって事だよね?酷いことするなぁ

そうそう。人が多いところは工業地帯とかだったから、そこを攻撃された。酷いよ。戦争が終わって全部無くなる前に止めれば良かった

ー 確かに。無くなってからじゃ遅い。(広島城の近く)西練兵場があるけど、これは?

練兵場は兵隊の人が訓練するところだよ。広島はこんなのあるんだねぇ。やっぱり、こうやって兵隊がいたからなのかねぇ。全然違う

ー ここにも射撃場があるね

当時は皆んな銃を持って練習してた。(すずさんが近くで絵を描いているイラストがあって)こんな近くで子供は遊ばないよ。でも広島は違うのかね。そういえば馬橋(今住んでる所)にも射撃場はあったね

ー え、本当に?知らなかったなぁ。話変わるけど、戦争は日本が始めたんだよね?

そうだよ、敵うわけ訳ないのに攻撃したから

ー 調子に乗っちゃったのかな、色んな戦争あって。でも日本も技術力はあったと思うんだけど、当時も勝てないって思ってたの?

そうそう、自分たちに技術があるって思いこんじゃった。でもアメリカがそれを上回ってた

ー 今は中国とかも徴兵制みたいのあるけど、どう思う?日清戦争とかの影響もあるのかな

中国はそうだねぇ。日清、日露・・・今の中国は昔の日本みたいねぇ。当時は徴兵制に呼ばれないように、わざとご飯を食べないで痩せたりしていた人がいた

ー でも、それって非国民みたいに言われないの?後、行けないとしても喜んじゃいけなそうだけど

非国民というか、当時の人は軍隊に入るのが当たり前だと思ってたから、軍隊に入れると「やったー!」って喜んでたんだよ

ー すごい時代。婆ちゃんも誰かに「非国民だ!」とか言ったの?

いったねぇ(笑)

ー あっ、そうなんだ(笑)

そうそう、みんなこういう格好だった(すずさんたちの幼き日の着物姿を見て)、後、理髪店なんて男はバリカンだし、女は家で皆んなおかっぱにしちゃうから行かないね。カフェ?喫茶店なんて金持ちしか行かなかったよ

ー (すずさんのおさげ風の髪型を指して)じゃあ、この髪どう思う?

こんな人いないよ(笑)駄菓子屋のキャンディーはあったねぇ。ここにサンタの格好している人いるけど、クリスマスなんて祝ってなかったよ

ー 戦争やってアメリカから流れてきた文化なのかな?

広島はやってたのかもしれないねぇ、日本は日本でも違うもんだねぇ

ー 広島は皆んな優しくていい所だったよ、後、路面電車が好き

あーそう、皆んな苦労してるからかねぇ。今の若者は苦労してないから苦労したほうがいい。だって昔は小学校が終わったら働きに出てた。路面電車は、昔は東京中を走ってたからねぇ

ー そうだ、このすずさんも海苔を売りに行ってた。嫌な事とか避けてる人が多いから、嫌な事をした方が成長に繋がるかもしれないね。そういえば少し前に(従兄弟の)Kちゃんから、ちょっと鬱って連絡きた(笑)

ありゃ、苦労してるのかね。困ったねぇ。そういえば、爺さんが戦争の時に広島にちょっと行ってたかなぁ

ー えっ、マジ?




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まだまだ配給がどうとか、当時の食卓事情とか色んな事を1時間以上も話したんだけど、この辺で。当時の生活みたいな物を知りたかったので聞けてよかった。『この世界の片隅に』で描かれた様な細部に、”片隅に”こそ、そういう時代性や人間性といった物が見えると僕は思った。爺ちゃんが生きてたら、戦争の話とか沢山聞きたかったなぁ。爺ちゃんに会いたい。婆ちゃんは何年になにがあったとか詳しく覚えてるのすごいや。因みに婆ちゃんは日本の都道府県全て行ったことあるらしい。伊豆諸島とか沖縄の島国とかも色々と。

今回はコレだけで次のブログで『この世界の片隅に』ついて詳しく触れます!(明日になるかも)

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*1:調べてみたら昭和東南海地震がヒットしたので、おそらくコレです。