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チラシのおもて

すきなものについて

TBS火10ドラマ『カルテット』第1話

本当に制作発表から待ちかねた坂元裕二の脚本によるドラマ『カルテット』。坂元裕二のドラマでお馴染みの満島ひかりに加え、常連になってきた高橋一生の出演、以外にも初出演の松たか子松田龍平。この四人の化学反応がどう作用するのか考えただけでも興奮してしまう。もう本当に予告の唐揚げにレモンにかけるか論争を見てから期待度が高まりすぎて高まりすぎて、バイトを早めに切り上げてリアルタイムで観てしまいました。ごめんなさい!

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あらすじー

ある日、“偶然”出会った男女4人。
夢が叶わないまま、人生のピークにたどり着くことなく緩やかな下り坂の前で立ち止まっている者たちだ。そんな4人がカルテットを組み、軽井沢で共同生活を送ることになる。しかし、その“偶然”には、大きな秘密が隠されていた……。


巻真紀(松たか子)は別府司(松田龍平)の運転で軽井沢の別荘へとやって来た。待っていたのは世吹すずめ(満島ひかり)と家森諭高(高橋一生)。東京のカラオケボックスで出会った4人は皆演奏者で、弦楽四重奏をやることになったのだ。ライブレストランで演奏しようという話になるが、その店では“余命9ヶ月”のピアニスト・ベンジャミン瀧田(イッセー尾形)がレギュラー演奏していた。そこで真紀は、突拍子もないことを言い出す。(公式サイトより引用)


まず予告にもあった食卓で起きる”唐揚げにレモンをかけるか”論争が如何にも坂元裕二という感じで、高橋一生の神経質な感じは『最高の離婚』の瑛太を思わせるし、ファンが見たら思わずニヤけてしまうのではないだろうか。お皿に盛られた唐揚げに対して何の迷いもなくレモンをかける別府と世吹に対して、突っかかる高橋一生演じる家森のセリフ。

これは、人それぞれ、自分たちの皿に取り上げた後に個々に掛ける為に置いたんじゃないか。唐揚げにはレモンするよって人と、レモンなんかする訳ないでしょって人がいるじゃないか。

唐揚げは洗える?レモンするって事はさ、不可逆なんだよ。二度と元には戻れない。


坂元裕二に馴染みのない人にとっては、何だこの会話は状態であるが、まさにレモンの汁のようにジワジワと後半の展開で、その論争を反復させる事で効いてくる。その”唐揚げにレモンを掛けるか”を”夫婦の形”といった普遍的な物に繋げてしまう脚本の素晴らしさに思わず感動した。話は変わるが運命的な出会いを果たした四人の口から劇中で何度か「運命」という言葉が発せらる。「運命」の出会いという事もあり、どことなく順調な関係に思える四人だが、こういうレモン汁のくだりの様な生活の細かな点からズレ(違和感)が生じるのは、いつもの坂元裕二っぽさを感じさせられるし、”運命の貧弱さ”みたいな物を露見させる。毎度ながら、この様なズレの積み重ねが幾十にも描かれて行く。実際に、四人がカラオケボックスで「運命」的に出会ったかの様に思われるのだが、序盤のシーンで満島ひかり演じる世吹すずめが、もたいまさこ演じる老婆に、この女性と仲良くなってくれないかと松たか子演じる巻に近づくよう依頼される事からも、これは運命ではないと言う”運命の貧弱さ”が強調される様に思えた。1話の後半で巻に近づく理由が明かされるのだが、どうやら老婆の息子(巻の夫)が巻に殺されたかと疑ってるようなのである。正直、ラブストーリーであるのかなと思っただけに、まさか*1のサスペンスストーリーという事で非常に驚いた。世吹が依頼され、巻に近づいたとするなら他の二人は「運命」的な出会いなのかどうなのだろうという疑問が自然的に起こるのではないだろうか。実際に「運命」なのか否か。「運命」ではないのなら、なぜ巻に近づいたのか...。改めて見返すと序盤で松田龍平の口から発せられる「運命」も最高に胡散臭い。しかも、たまたまカラオケボックスで出会った四人が楽器の演奏者であるのが尚更。ただ似た様な社会への生きづらさを持った四人である事は間違いないのだが...。この辺のさじ加減が絶妙なのかもしれないし、様々な”嘘”が物語に散りばめられている様に思えて仕方ない。サスペンス要素に対して1話だけでは、どう足掻いても解釈仕切れないので今後の展開が楽しみ。

それにしても1年前の『いつ恋』も良かったが、今回の『カルテット』も坂元裕二独特の言い回しが最高で、この俳優陣の声で発せられるという白眉。「夫婦って別れられる家族」とか「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、まさか」とか。個人的に高橋一生のバディーソープのくだりが大好き。

家森「バディーソープ買ったっけ?バディーソープ切れてたよね」
別府「え・・・買いましたよ」
世吹「何をですか?」
家森「ん?バディーソープ・・・なに?」
世吹「なんでもないですよ、バディーソープ買いましたよ〜笑」


ボディーソープをバディーソープという家森に対して、嘲笑する世吹が可愛すぎて最高で、ついつい笑ってしまった。しっかし、坂元裕二が脚本というだけでも素晴らしいのに俳優陣まで最高すぎて次回が楽しみすぎるし、主題歌も最高でした。いつもの坂元裕二節全開で、更に新しさも増してとんでもなく傑作になりそうな予感がする。もう1話の時点で満島ひかり高橋一生の掛け合いが最高すぎる。個人的にですが、去年の4月期ドラマ『ゆとりですがなにか』で認知度を上げた吉岡里帆さんが元地下アイドルという役柄で出演していて、どう主役の俳優陣と絡んでくるのかというのも楽しみである。

*1:劇中にもある「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、まさか」というのが、ここで効いてくるとは!