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チラシのおもて

すきなものについて

うつ病になった僕が田中圭一さんの『うつヌケ』を読んだ。

僕がブログを始めた最初の記事で、ちょろっと触れたのですが、僕は”うつ病”でした。いや正確にはカウンセラーや病院に行って診察を受けたわけでは無いので確かではないのですが、うつ病に近い状態だった。僕にとって初めて人を、本当の意味で好きになったと感じる付き合いだった女の子に振られてしまった”喪失感”が引き起こした物であるのではないかなと思っています。何としても話したい一心で何度も連絡したり、会いに行ったりして本当の意味でストーカーになりつつあった。いや、今だから言ってしまうのですが、実際に通報されて家に警察が来て事情聴取された。本当に絶望的な気持ちになったし、何もかも否定された気分で毎日死にたいと思って自殺サイトの様な物を見たりもした。そんなうつ病になり掛けの時期には(今は辞めてしまったが)映画館のアルバイトをやっていて、アルバイトに向かう為に足を運ぶ駅のホームで何度も死のうと考えた。アルバイト中も何とか気持ちを押し殺して、押し殺した。それも長くは続かず「もう行けません」と連絡をし、学校も行かず、とにかく好きな事をした。従兄弟の兄貴分であるKちゃんには何度も相談して優しい言葉を掛けて貰ったし、その親友のMくんの言葉と演劇(「いつ高」)にはとっても救われた。後は両親もそうだし、アルバイト先で最も信頼を寄せていたKさんは本当に頼りにしてて何度も何度も相談をしたのに、正論ばかり言われてしまった事がうつ病だった僕には精神的に辛かった為に連絡先をブロックしてしまった事を謝りたいし、今ならKさんの言葉が正しかったというのが身に染みています。たまにポケモンで対戦する親友のMくんには少し当たってしまった気がするので謝りたい。(なんかイニシャルがKとMばかりや!)後、心配してくれた友達にも感謝だ。そして、ようやく元気を取り戻した僕が出会った本が田中圭一さんの『うつヌケ』という漫画である。


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本の簡単な内容ー
パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!

著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!


完全に手塚治虫のパクリっぽさMAXで、見るからに怪しいのに思わず手にとってしまった事を嬉しく思います。パクリというかパロディですが僕はそういうの大好きなので、愛すべき大好きな奴だった。しかし日本はパロディについてパクリだと煩いのは何故なんだろう。ある作品をパロディにして面白おかしくする事で社会風刺を描く、そんな感じで奥深さすら感じさせる気がするのだけれど、それが気に食わない人たちがメディアとかで言っちゃうんだろうなぁ...。と、脱線し掛けましたが、この漫画では様々な人のうつ病体験が語られて行くのだが最も近い症状が著者の田中圭一さんだと思った。


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この様に漫画という形式で田中圭一さんの経験が紡がれていく訳だが、まさしく僕もこの様な状態であった。他者には理解されない辛さが、いつまでもいつまでも付きまとい毎日の様にモヤモヤが続く。本を読む気にもなれないし、映画を見ても何も入ってこない。それで数ヶ月間、映画を見ていない時期があって、つい先日ゼミの仲間にそれを話したら(映画好きで通っているので)とんでもなく驚かれたので、本当に異常な時期だった事が分かった。今思うと笑える経験では、あるのですが、どう脱したらいいのか分からない恐怖や不安で押しつぶされてしまい本当に辛い時期だったという記憶だけが残っている。そのゼミの仲間の父親うつ病らしく「うつ病の人には頑張れって言っちゃいけない」とか、うつ病の人に対する接し方について等を話していた時には、本当にうつ病になってしまった同じ様な方々が、いつか心から笑える様になって欲しいと思いました。

本作品の第3話では、うつ病を脱したと思ったら再発してしまう「突然リターン」についてが語られる。本当に治ったと思ったら突然の様にやってくるのが恐ろしい事この上ない。著者の方の分析によると、「突然リターン」はこの様な事らしい。

うつ病は、ある日を境に急によくなる訳ではありません。
一進一退を繰り返しながら徐々に良くなっていくのです。


本当にその通りで、情緒不安定な状態が続いて安定したかと思ったら突然のように振り返したりを繰り返して、ようやく脱する事が出来るのである。この幾度の「突然リターン」にも、優しく応じてくれた従兄弟のKちゃんには迷惑を掛けてしまったので本当に感謝しています。で、田中圭一さんによると、うつ病は気圧や気温の変化で陥りやすかったりがあるらしいが僕には当てはまらないようで、色んなパターンがある事が複数の実体験で語られているので、どれかしらに当てはまるのではないかなと思います。今回『カブールの園』*1という小説で芥川賞候補に入ってる宮内さんの経験も語られてます!サブカル詳しい人は「えっ、あの人も?!」って言う人の体験談を覗けるかもしれません。

ある程度読んでみると、多くの人は自分に自信が無かったり自己肯定感が低い様に思える。僕もそうで何もかも自信がないのである。顔もそうだし、コミュニケーションが苦手な自分が本当に嫌いで仕方がない。それでも誰かに必要とされたいのが人間であって、「自分は必要とされないんだ」と思って考え込んでしまうと余計に悪化してしまう。だから少しでも自分を好きになろうと思ったし、「うつトンネル」を抜けた事で成長した部分があるって今は思えているので、僕は一度うつ病になって良かったと思った。本当に辛い経験である事は間違いないですが。少し逸れますが『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で知られるラース・フォン・トリアー*2の『アンチクライスト』という作品は、確か監督がうつ病の時に制作された物で僕的にかなり意味不明で難解な作品に思えていたので、うつ病になった経験が『アンチクライスト』及び『メランコリア』という作品についての解釈を深める物かもしれないと、前向きに思えている。どんなに素晴らしい作品でも、何か現実と地続きで接点が無ければ感じ取れない部分もあるのではと考えているので、やはりうつ病という経験によって以前は得られなかった視点が生まれる気がしている。

せっかくポップカルチャーへの愛を綴るブログだと謳っている訳だし、うつ病の時に元気を貰った音楽を紹介したい。これも落ち込んでたらKちゃんが教えてくれた!笑


FOREVER

FOREVER


それはEnjoy Music Club(略してEMC)のアルバム「FOREVER」だ。もうとにかく曲全体がポジティブに包まれているのだが、根拠のない自信というか、”とりあえずポジティブに歌っとこうぜ”感みたいなユルさが丁度いいし、”僕”と”あの子”しかそこには存在していないかの様な青春が描かれているし、リリックに溢れ出る現実との距離感に共感しまくれるのが最高で最高すぎる点といっても過言ではない。特にお気に入りは「EMCのラップ道」。

やりたい事は沢山あるけど やりたい様に上手くできない
でも、こっから始めよう 何かを今から始めよう
言いたい事は特にないよ それでも上手く行けば採用

あいつも俺も ENJOY MUSIC CLUB
年末年始も ENJOY MUSIC CLUB


”とりあえずポジティブに歌っとこうぜ”って書いたみたいに、とりあえずやってみようから始まって、それって凄く大切な事なのではないかと僕は思う。失敗したっていい、下手でもいい、そんなポジティブさ全開で元気100倍アンパンマン精神にさせてくれる。いつかライブを見に行こう。後はSMAP*3の曲とかひたすら聴いてました。本当に音楽の力っていいなって再認識。そういうのって当たり前のことになってるから、当たり前に日々感謝することも大切だと思った。後は色んな出会いに感謝。なんか色んな人に優しくなりたいなって思うのと同時に、同じ様に苦しむ人に手を差し伸べたいです。この漫画を見て「同じ経験をした人が沢山いるんだ!」って勇気付けられたし、うつ病を改善する方法は同じ経験をした人による自己理解と他者理解を上手く共存させる事ではないかと思った。自己を知る事は他者の理解に繋がるし、逆もまた然りではないでしょうか。勿論、経験をした事ない家族や友人の言葉も大切なので、周りに落ち込んでる人がいたら迷いなく助けてあげて欲しい。

そして『うつヌケ』も超絶オススメしたいので是非読んでほしい。うつ病じゃなくても落ち込んだり、ある種の行きづらさを感じる人に響く内容になっている。そして皆が笑顔で、優しさで包まれる世界になって欲しいと心から思った。僕の好きな人たちとポップカルチャーに愛を込めて、この辺で。


*1:黄禍論という言葉が出てきて恥ずかしながら初めて知った。読んで字のごとく黄色人種を脅威とした人々が差別的に唱えた物である。1895年に起きた三国干渉は、これが影響している。

*2:デンマークの監督。見ていると、うつ病を引き起こしてしまいそうな作風が特徴。映画にハマった頃から偏愛していて多くの作品を鑑賞した。『アンチクライスト』、『メランコリア』、『ニンフォマニアック』は「鬱三部作」と呼ばれており、彼自身が散発的なうつ病に悩まされている為である。『メランコリア』は自身のセラピーの為に制作された映画だとされている。

*3:特に「ススメ!」。36枚目となるはずだったシングル曲。この事があったのでSMAPの解散は涙無くして語れないので、バイト中にSMAPファンの人と語っていたら泣きそうになった。