『この世界の片隅に』を通して見る”過去”と”今”①
婆ちゃんに広島のお土産を渡してきたついでに色んな話を聞いてきた。戦時中とか、昔の事。婆ちゃんは広島の人間ではないけど、その時代を生き抜いた人なので、とても貴重な話だ。当時を覚えている方の話って、どんどん聞けなくなってしまう気がするので、ここに記録としてインタビュー形式で載せてみる。そして広島へ行って色んな人と触れ合ってみてから『この世界の片隅に』を改めて見て、そして婆ちゃんの当時の話を聞いて、僕が思った事や作品についてを書きたいと思います。まずは『この世界の片隅に』の広島ロケ地MAPを見ながら色んな話をした。最近、戦争の事とか考える場面が多くて、こんな記事ばかりですが、良かったら読んでください。
ー (古い地図を指して)呉にいってきた。婆ちゃんは広島に行ったんだっけ?
呉までいったのか。広島行ったけど、そっちの方は全然見てないね。平和資料館しか行ってない気がする。ツアーだからねぇ。覚えてないね
ー じゃあ、宮島とか西の方ってこと?
そうそう
ー ここが今の原爆ドームだよね
産業奨励館・・・そうそう、ツアーだから、この辺しか行けなかった
ー そうかぁ、広島は都会みたいで、呉は田舎だから歩くの厳しいかも。「大和ミュージアム」で大和について見てきたんだけど、当時は知ってた?
知らないねぇ。田舎に住んでたからかもしれないけど、当時は自分が生きる為に手一杯だから耳に入らなかったのかもしれないねぇ
ー なるほど、田舎だから。婆ちゃんの家は戦争で壊されたの?
田舎だから壊されたりはなかった。だけど、昭和19年に地震があって屋根*1とかが落ちてきて怖かったねぇ。近くの大きい本屋さんに皆んなして行ってた。戦争で狙われたのは、浜松の方(当時は静岡にいた為)の工場とか小学校だから、婆ちゃんは飛んでく飛行機をよく見たり、機関銃の音をよく聞いた
ー 人が多いところを狙ったって事だよね?酷いことするなぁ
そうそう。人が多いところは工業地帯とかだったから、そこを攻撃された。酷いよ。戦争が終わって全部無くなる前に止めれば良かった
ー 確かに。無くなってからじゃ遅い。(広島城の近く)西練兵場があるけど、これは?
練兵場は兵隊の人が訓練するところだよ。広島はこんなのあるんだねぇ。やっぱり、こうやって兵隊がいたからなのかねぇ。全然違う
ー ここにも射撃場があるね
当時は皆んな銃を持って練習してた。(すずさんが近くで絵を描いているイラストがあって)こんな近くで子供は遊ばないよ。でも広島は違うのかね。そういえば馬橋(今住んでる所)にも射撃場はあったね
ー え、本当に?知らなかったなぁ。話変わるけど、戦争は日本が始めたんだよね?
そうだよ、敵うわけ訳ないのに攻撃したから
ー 調子に乗っちゃったのかな、色んな戦争あって。でも日本も技術力はあったと思うんだけど、当時も勝てないって思ってたの?
そうそう、自分たちに技術があるって思いこんじゃった。でもアメリカがそれを上回ってた
ー 今は中国とかも徴兵制みたいのあるけど、どう思う?日清戦争とかの影響もあるのかな
中国はそうだねぇ。日清、日露・・・今の中国は昔の日本みたいねぇ。当時は徴兵制に呼ばれないように、わざとご飯を食べないで痩せたりしていた人がいた
ー でも、それって非国民みたいに言われないの?後、行けないとしても喜んじゃいけなそうだけど
非国民というか、当時の人は軍隊に入るのが当たり前だと思ってたから、軍隊に入れると「やったー!」って喜んでたんだよ
ー すごい時代。婆ちゃんも誰かに「非国民だ!」とか言ったの?
いったねぇ(笑)
ー あっ、そうなんだ(笑)
そうそう、みんなこういう格好だった(すずさんたちの幼き日の着物姿を見て)、後、理髪店なんて男はバリカンだし、女は家で皆んなおかっぱにしちゃうから行かないね。カフェ?喫茶店なんて金持ちしか行かなかったよ
ー (すずさんのおさげ風の髪型を指して)じゃあ、この髪どう思う?
こんな人いないよ(笑)駄菓子屋のキャンディーはあったねぇ。ここにサンタの格好している人いるけど、クリスマスなんて祝ってなかったよ
ー 戦争やってアメリカから流れてきた文化なのかな?
広島はやってたのかもしれないねぇ、日本は日本でも違うもんだねぇ
ー 広島は皆んな優しくていい所だったよ、後、路面電車が好き
あーそう、皆んな苦労してるからかねぇ。今の若者は苦労してないから苦労したほうがいい。だって昔は小学校が終わったら働きに出てた。路面電車は、昔は東京中を走ってたからねぇ
ー そうだ、このすずさんも海苔を売りに行ってた。嫌な事とか避けてる人が多いから、嫌な事をした方が成長に繋がるかもしれないね。そういえば少し前に(従兄弟の)Kちゃんから、ちょっと鬱って連絡きた(笑)
ありゃ、苦労してるのかね。困ったねぇ。そういえば、爺さんが戦争の時に広島にちょっと行ってたかなぁ
ー えっ、マジ?
まだまだ配給がどうとか、当時の食卓事情とか色んな事を1時間以上も話したんだけど、この辺で。当時の生活みたいな物を知りたかったので聞けてよかった。『この世界の片隅に』で描かれた様な細部に、”片隅に”こそ、そういう時代性や人間性といった物が見えると僕は思った。爺ちゃんが生きてたら、戦争の話とか沢山聞きたかったなぁ。爺ちゃんに会いたい。婆ちゃんは何年になにがあったとか詳しく覚えてるのすごいや。因みに婆ちゃんは日本の都道府県全て行ったことあるらしい。伊豆諸島とか沖縄の島国とかも色々と。
今回はコレだけで次のブログで『この世界の片隅に』ついて詳しく触れます!(明日になるかも)
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